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2012年12月 2日 (日)

国会の無作為無責任、ここに極まれり

 有象無象の政党が乱立し放題の今回の衆院選。公示日直前になってようやく各党の公約が出揃ってきたみたいですけど、それをふまえての現時点での私的政治観をアップする前に書いておきたいことが、先日アップした民主党政権の3年半<こちら>の他にもう1つあります。
 ついに定数是正をしなかった前職衆議院議員の無作為と無責任についてです。この問題は、政権与党の民主党所属議員だけの問題ではありません。前職議員全員が、すべきをなさず無責任だったのです。
 日本国唯一の立法機関である国会は衆議院と参議院の両院で構成され(憲法42条)、両議院は全国民を代表する選挙された議員で組織されます(同43条1項)。「両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。」(同条2項)「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」(同47条)とされ、これを受けて公職選挙法で具体的な議員定数や選挙区やいわゆる“区割り”が定められています。この“区割り”を定めるにあたっては、憲法上平等選挙が保障されており(14条1項、44条)、その内容として選挙資格の平等のみならず投票価値の平等も保障されていると解されることから、国民1人1人の投票価値が可能な限り平等となるよう定められなければなりません。この国民1人1人の投票価値が実際にどれくらい平等か、どれくらい不平等なのかをメディアは「1票の格差」と呼んでいます。
 この点につき、最高裁は昨年3月23日に大法廷判決で 2009年の衆院選(前回の衆院選)での最大2.30倍の1票の格差が「違憲状態にある」としました。「2.30倍の差」というのが実際わかりにくいのですが、当時、登録選挙人数全国最大だった千葉4区が489437人であったのに対し、全国最小の高知3区は212376人であったということです。説明のために単純化すると、「小選挙区制なので候補者2人/当選者1人とすると選挙区の過半数を取った候補が勝利することになるが、高知3区では約10万6千票で当選できたところ千葉4区では約24万5千票も必要だった」ということになります。「有権者1人に1票ずつ平等に与えられていて自分の選挙区から1人の議員を国会に送ることができるというのに、この差は何だ?不平等じゃないか」というのが問題意識であり、「千葉4区と高知3区の“区割り”をもっと工夫していれば、こんな差がつかなかった」のだから「公職選挙法は選挙当時違憲状態だった」「唯一の立法機関たる国会は、公職選挙法をきちんと直せ」と最高裁は判断したのです。裁判所は判断にあたり国が人口分布の現状を把握してから実際に対処するまでは時間がかかることから「合理的期間」という猶予期間を与えているのですが、その合理的期間内に是正がされなかったとまでは言えないとして「違憲状態にあったけど、選挙自体は(今のところ)無効とはしないよ」としました。「だけど、このまま放置するなら、次は選挙無効判決書くからね」という判決になっています。これは最高裁大法廷による重い判決であり、多数意見が判事15人中12人という「次は間違いなく許さないよ」という非常に強い意思表明です。震災直後だったためかメディアはあまり書き立てませんでしたが、もっと騒がれなければならない判決でしたし、何より国会議員は全員危機意識を持たねばならない判決だったのです。
 なのに、前職衆議院議員たちは危機意識を持ちませんでした。
 なぜか?彼らは、日本国憲法の三権分立というものをきちんと理解していないからだと私は考えます。たしかに、憲法41条に「国会は、国権の最高機関であって」という文言があります。立法・行政・司法の国家三権にあって最高機関である国会の意思は最も重いのだと勝手に解釈し、「たかが司法権ごときが、ごちゃごちゃうるさいわ」と言い放つ長老議員までいるとか、どこかの新聞記事で読んだ記憶があります。
 しかし、日本国憲法には司法権に違憲立法審査権というものが81条で規定されています。最高機関で唯一の立法機関が決めた法律であろうと、日本国憲法に適合しない法律は無効にできるのが日本の三権の1つである司法権です。一国会議員が、新聞が、TVが、「司法ファッショ」だのなんだのと文句言ったってダメです。憲法に書いてあるのですから、たとえ内閣総理大臣だろうが天皇だろうが文句など無意味です。それが憲法の定める日本という国家の統治機構なのですからね。どうしてもイヤだと言うなら憲法自体を書き換えるほかありません。そんなことすらわかっていない国会議員が、この国には多すぎますよ。もし「たかが司法権」などと言っている議員が本当にいたとしたら、我々はこう言ってやるべきです。「たかが、一国会議員ごときが、ごちゃごちゃうるさいわ」とね。主権者が国民であることを知らず、司法権の違憲立法審査権も理解せず、自分だけが偉いんだと錯覚しているような人間が、何を言うかと。国家の基本法たる憲法も知らないくせに「選挙で通った」ってだけでふんぞり返ってるから、いつになっても政権が変わっても“政治屋”って人種は官僚にバカにされ支配されるのですよ。
 そして、危機感を持たなかった衆議院議員たちは、震災後に口では「衆議院解散」「衆議院解散」と言っておきながら、その解散後の総選挙に向けた法整備をしませんでした。国会は最終的に定数の「0増5減」を実現させましたが、こんなものは昨年6月菅内閣に内閣不信任案がつきつけられた時から既に案として存在していたのです<当時の私の記事>。なのに、衆議院では特に少数政党が激しく抵抗して定数是正を阻止し続けてきました。
 なぜか?結局のところ、前職国会議員たちは全員の身分を喪失させる「解散」というものが実現してしまうことを誰も望んでいなかったのだと私は思いますよ。メディアの論調は何かにつけ「民主党の議員が解散を嫌がっている」としていましたが、民主党議員に限ったことではなかったと思いますね。次選挙になったら党自体が消滅しかねない少数政党、うだつが上がらず人気も上がらない自民党、何もかも上手くいかない民主党、それぞれの思惑が一致して全員で「解散」を拒んでいたのではないでしょうか。「解散」したくされたくないから、議員定数是正が進まないことを「解散できない」口実として皆が利用していた、私はそう見ています。
 そんな軽薄な国会議員の意図など見越したかのように、今年の10月17日に最高裁はさらなる判決を下しました。2010年の参院選で5.00倍だった1票の格差が「違憲状態にある」としたのです。これには驚きましたよ。「参議院はその選挙の特殊性から、6倍あたりが判断基準」と言われていて、実際5倍をちょっと超えていても合憲と判断されていたのに、今回突然に5.00倍で「違憲状態」と明示しましたからね……おそらく、「違憲状態だからな」と強いメッセージを発したにもかかわらず、その「違憲状態」をさらに1年半も解消しようとしない立法府に、最高裁判所は司法権として怒りのメッセージを出したのでしょうな。
 これに対し、前職衆議院議員たちはなおも危機感なく、野田内閣総理大臣の突然の衆院解散に合わせて結局「0増5減」の定数改正の法案を成立させただけで、今回の衆議院議員選挙には“区割り”作業が間に合わないことから「違憲状態」とされた“区割り”での選挙を実行するに至りました。不逮捕特権などの特別な身分・高額な議員歳費受け取りなどの特別な権利を創出する選挙というものの意義をも忘れ、正せるのは自分たちしかいないのに自分たちの地位にしがみつき続けるためだけに正そうともせず、「小選挙区比例代表連用制」導入などひたすら身勝手な主張を繰り返して今に至ったのです……こんな下衆な連中に、私たちは国権の最高機関たる立法権を約3年半も任せていたということですよ。

 私は「投票価値の平等」というものに一定の理解はしていますが、実をいうとそれほど厳格に考えていません。「完全に平等であるべき」とするなら全議席を全国1区の比例代表制にでもする他ないのですから、小選挙区で“区割り”なんてことをする限りどうしても差は生じてしまうと思います。それに、「1人に2票与えることは許されない以上、2倍未満にするべき」という意見も理解しているのですが……単に人工比率だけで選挙区を割っていくと、神奈川県だけで20とか選挙区がある一方で鳥取と島根では2県合わせて選挙区3つなんてことになってしまいます(現状では神奈川が18選挙区、鳥取は2選挙区、島根も2選挙区)。神奈川からは20人議員を出すけど鳥取と島根両県からは3人議員を出せるだけ、とか本当にそのようなことになっても良いものでしょうか?都道府県という行政単位がある以上は、それを基本に議席を割り振るという現行の考え方にも一定の合理性はあると私は考えますがね。「衆議院2.5倍/参議院5倍」あたりを合憲違憲の判断ラインにしても良いのではと思っていますよ、私はね(ちなみに、“自由の国”アメリカの連邦議会選挙においては「投票価値の平等」は下院では重視されますがそれほど厳格ではなく、上院では完全に無視されています。まぁ、大統領選挙もあるからかもしれませんけど)。
 もちろん、日本維新の会みたいに「国会議員なんて50万人から1人出ればそれで良いんだ!」って割り切って考えることもできなくはないけど、そうなったら大都市住民の代表のみで国会が組織されることになりかねません(※日本維新の会の政策って、多くが大都市圏の住民向けの政策です。「地方から日本を変える」とか言っときながら本当の“地方”は切り捨てる……こんなのが「維新」ですかねぇ?)。地方にだって人はたくさん生活しています。その人たちを代表する議員がいなくて、本当によいのでしょうか?「議員の数を減らす」ってことだけにとらわれて、「自分たちの代表を国会に送る」という観点を見失っては民主主義国家の国民として本末転倒なのではないかと私は思っています。
 けれども、だからといって自分たちの都合を最優先に司法権の警告を無視し続けた国会議員たちの態度は許されるものではありません。しかも、この“国難”に、彼らは立法という自分たちの仕事を放り出した上に政局に明け暮れ、そのくせ歳費や政党交付金という高額の税金は受け取って食いつぶし続けたのですからね。揃いも揃って、国民の意思を無視し、少しでも長く衆議院議員という地位にしがみつこうとした前職議員たち……こんなのを前回の選挙で選んでしまったのは私も含めた主権者たる国民ではありますが、にしても許せないです。一度、立法府は司法の選挙無効判決をくらうべきだと思いますよ。司法をナメるな。そのための準備も着々と進んでいますし(※先月30日に最高裁が今回の衆院選の差し止め/仮差し止めの請求を棄却する決定を出しましたが、この原告グループは「選挙を差し止められる」と思って訴訟をしたのではありません。今回の選挙後に始める、選挙の違憲無効判決を求める手続の前提としてわざわざ訴訟提起してわざと負けたのです。あのグループは、ギャーギャーわめき散らすだけの市民団体の名を借りた反社会勢力や人権を隠れ蓑に不当な利益を貪る人権団体とは違うし、生っちょろい最近の国会議員みたいな甘ちゃんでもない上に、訴訟のプロですから理知的で戦略的。極めて手強いですぜ?)。
 その前に、今回の選挙ですかな……どうせなので、敢えてここで言わせてもらいますよ。
 「前職は、民主党に限らず全員落選しやがれ」

 今回の衆院選、私は違憲無効の選挙だと思っています。「0増5減を決めた上でやるんだから、大丈夫」というのは、はっきり言って甘い。甘すぎます。たぶん、最高裁判所は出すんじゃないかな。「事情判決の法理」を適用せずに、史上初の選挙無効判決をね。
(追記:最高裁判所は、2013年11月20日大法廷判決で、選挙は違憲状態にあったと認定したものの選挙無効とはしませんでした。司法の政治介入による混乱を嫌う、今までの最高裁の立場を踏襲したようです。現状の法制度にはない「再選挙」による混乱回避という点で妥当と言えば妥当ではありますが……これでは「司法判断は、国政上ないがしろにしても構わない」と最高裁自ら認めてしまったに等しく、その点については残念に思います)
 ただし、今回の選挙を経ての来年の通常国会で両議院の選挙制度を抜本的に改正し、周知期間をきちんと経た上で、その新制度での選挙を両議院ですぐにやってしまえば……仮に今回の衆院選を最高裁が違憲無効と判断しても、「合憲の新制度で選挙やり直しちゃったから、もういいや」って判決になると予想します。そうできる、最も都合の良いタイミングが来年夏に来ます。来夏の参院選に合わせて、衆議院を再び解散し衆参同時選挙をしてしまうのです。
 今の日本の“甘ちゃん”代議士センセイたちにそんなことを戦略的に考えて実行することができるかどうかわかりませんが、現状で「違憲無効判決による選挙のやり直し」を回避するにはそうするのがベストだと私は思いますよ。
 多くの政治屋は目の前の選挙に焦るだけでそれどころか選挙前だというのに既に自滅しているようですけど、何人か“夏の再選挙”を見越して行動している人もいるように思えますし……どうなるのですかね。

 私は、以前は「無効選挙になんて投票するか」とも考えたりもしてましたが、とりあえず投票はすることにします。無効にならないかもしれないですし、何より日本国民たる私が投票を欠かせば「それ見たことか。だから俺たちに投票権をよこせ」と在日団体(民団)に参政権要求の口実を与えるようなものですから。
 とはいえ、積極的に支持できる政党など、今回の選挙ではどこにもなさそうなんですがね……はぁ。

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