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2012年12月24日 (月)

「平清盛」最終回

 今年の大河ドラマ「平清盛」が、昨日最終回でした。
 「平清盛」はNHK大河ドラマの50周年記念作だったのですが……放送開始直後から「画面が汚い」とか「天皇家を“王家”と呼称するとは何事か」などとケチがつきまくり、中盤からは視聴率が下がり続けて終盤は「二桁(10%)を割り込んだ」とか「大河ドラマの史上最低を更新」とか視聴率低下の話のみがクローズアップされ、結局低視聴率のまま終わってしまいましたね。たぶん、メディア的には今作は「大失敗作」の烙印を押されるのでしょう。
 しかし、全話欠かさず最後まで見通した私の評価は違います。「よくぞ、最後までやってくれた。NHK」ってところですよ。たしかにドラマとしては決して明るく楽しい話ではなく、はっきり言ってしまえばつまらなかったけれども、極めて複雑でわかりにくい平安時代末期の日本を1年間で上手くまとめたなと思いましたね。
 かつて「源平合戦」があったということは誰もが知っていても、普通は源氏(源頼朝)の視点で考えるので、平氏は“敵役”であり詳しいことは歴史好きでもない限り知りません。また、“源平”の動向はある程度知っていたとしても、実際の政治を司っていた朝廷が当時どうなっていたのかなんてのはさらにマニアックで、かく言う私も平氏だの朝廷だのは高校日本史の授業に出てくる範囲でしか知りませんでしたが……いやはや、当時の日本ってとんでもない世界だったんですな。上皇による院政が行われていて皇族間での権力争いだけでも複雑怪奇なのに、藤原摂関家内でも派閥争いしていて、別のお公家さんも出てきて権力者が数年でころころ変わる。その上、中央政府管理下の“兵力”でしかなかった武士が財をなしだんだんとのし上がってきて、平氏と源氏の二大勢力の争いを経ながら、史上初めて武士が権力を握ることになる……こんな、いわば“四つ巴”の史実を真正面から描こうとしたらもの凄く大変なことになるのだけれど、それをやってのけてしまったのが今回の「平清盛」だと私は思いましたよ。普通の大河ドラマだったら主要キャラはせいぜい10人くらいでしょうけど、「平清盛」は中盤までは誰が“主要”なのかもわからんぐらい次から次へと重要人物が出てきては消え出てきては消えで、戦国時代とか幕末なら重要人物のイメージがある程度確立してるけど、この時代はイメージ無い人ばかりで誰が誰やらさっぱりわからないうちに、次から次へと死んでっちゃう。他方、終盤では平家の一族郎党がドカっと増えた上に源氏側のいつものメンバー(義経&弁慶に北条家など)がワラワラ出てきて……ホント凄い数でしたなw。だから、話についていくだけで精一杯というか、私もついていけなくなって途中Wikipediaで何度も調べて知識を補足してましたからね。「平清盛」を見るということはTVドラマの視聴というより歴史の勉強そのものなので(保元の乱/平治の乱などは今回とても勉強になりました。マジで)、自分で調べない人は置いてかれるだけ。歴史が嫌いな人からすれば「つまらん、つまらん」って言いたくもなったでしょうね。人間ドラマとして見るべき所も少なく楽しい話でもない上にこれでは、歴史好き以外は見なくもなりますよ。視聴率が下がり、批判ばかりが増えていったのは必然かも。結局、「平清盛」はドラマというより純粋な歴史ドキュメント番組に近く、歴史の勉強が好きか嫌いかがはっきり出たんだと思います(ネットでの清盛批判を見てたら、「なんでお前、日本史なんて好きなの?つまんねーだろが」って言われてた学生時代をよく思い出しましたわ)。
 まぁ、今回の「平清盛」は歴史ドキュメント番組だった、と言い切るのは脚本に“史実軽視の創作”的な部分もあったので(※清盛が白川院の御落胤だったってところから始まって、その他おかしなところがいくつかある)語弊もありそうですけど、批判の多くに「こっちはドラマとして見てるんだから、もっと楽しませろや」って空気があることは強く感じました。「じゃあ何?去年の『江』みたいな捏造ファンタジーにするのか?あれはイヤだって、みんな言ってたやん」って私は思いましたけど。それに、“トレンディドラマ”に代表されるような「軽い話でなければドラマではない」って風潮も私はイヤでして、やたら重苦しい話だって週に1つくらいあっていいと思うのですが。たかがTVドラマ、イヤなら見なければいいんですから(実際、見なかったんでしょう?それでええがな)。それに「画面が汚い」ってのもねぇ……好評だった「龍馬伝」だって相当汚かったと思いますがね。あれは良くて清盛はダメってのがよくわからなかったし、“王家”批判ってのも何でも“嫌韓”にこじつけてってのは気に入らないですわ(私も隣国は嫌いですけどね、こんなクレームがなかったら天皇家を王家と称するのが隣国のやり方だなんて全く知りませんでしたよ。なんで嫌いな隣国の考え方なんてものをいちいち知らないかんのか。日本人がいちいち気にせないかんのか。当時の日本では「王家」と称されていたという研究もあることだし、韓国文化なんざ無視すりゃいいだけなのに。これでは“韓国ゴリ押し”に乗る形でわざわざ構ってやってるようなもんじゃないか……って、構ってもらえるよう仕向けるのが騒ぐ狙いでしたか。すみませんね、邪魔しちゃって)。だいたい“日本三大悪妖怪”の1つに数えられる崇徳院が出てくる話(妖怪変化した30話はまさにホラーだったw)にて「天皇家」「皇族」って言う方がまずくないか?と私なんぞは考えますが。批判がとにかく強かったけど、説得的な批判というのは私の知る限りではメディアでもネットでもお目にかかれませんでしたね。
 また、話はわかりにくくて楽しくもなく、実際つまらなかったですけど、ドラマとしての見応えはあったと思います。主役・清盛役の松山ケンイチって個人的にはあまり好きな役者ではないのですが、演技は素晴らしかった。線が細くて「“清盛入道”を演じるなんて、とてもムリだろ」と思ってましたが、威圧的な絶対権力者をちゃんとやってのけましたからねぇ……「凄え」と、素直に思いました。その他出るわ出るわの大量キャストにハズレがほとんどなかったってのも凄いですよ。特に男性陣、良かったですねぇ。平忠盛役の中井貴一を筆頭にベテラン勢は「さすが」だったし、後白河院役の松田翔太も難しい役所なのにきっちり演じ切っちゃったし、平家の若い衆を演じた若手の人たちも誰だかわかんないけど皆よくやってましたよ。こんなの、今どきNHK大河ドラマでなきゃ作れないだろうし、大河といっても記念作品でもなければここまでのものは作れなかったんじゃないですかね。

 世間的には「大失敗作」かもしれないけど、私はこの1年「平清盛」で楽しめました。実に興味深く、勉強になりました。私的には「江 ~姫たちの戦国~」「龍馬伝」なんかよりずっとずっと面白かったし、話としては「天地人」の方が面白かったけど「平清盛」の方が良かったですよ。07年の「風林火山」以来かな、大河ドラマでこんなに楽しめたのは。ありがとう、NHK。
 けど、来年の大河が、ねぇ……「八重の桜」ですか。女性が主人公で幕末の話という「篤姫」的ななんとも私が嫌いなタイプの話なんですよね。
 というわけで、来年大河は見ません。再来年の「軍師官兵衛」を楽しみに待つとしますよ。

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