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2011年10月22日 (土)

「大阪都構想」は破綻する

 橋下徹大阪府知事が、知事職を辞職し、来月の大阪市長選に出馬すると明言したそうですね。
 まぁ、政策として「大阪都構想」を掲げている以上、大阪市長選と同時に大阪府知事選を実施すること(ダブル選挙)で民意をより明確に問うという姿勢自体は必ずしも間違っているとは思いません。
 しかし、そもそもこの「大阪都構想」というもの自体が間違っている上に、大阪市を巻き込んで関西一の大都市・大阪を混乱させるという政治戦術はね……私は賛成できません。
 「大阪都構想」とは府を都に変えることで市(政令指定市)という組織を省く構想とお見受けしますが、「それが実現したからどうなるのか」「大阪は良くなるのか」と言えば、不明です。というか、良くはならないと私は思います。大阪維新の会は「二重行政解消」などと主張しますが、仮に都構想が実現したとしても大阪市の住民からすれば「大阪府+大阪市」の組み合わせから「大阪府+特別区」の組み合わせに変わるだけで「二重」構造解消なんてことは現行憲法上ありえません。「大阪府+大阪市+行政区」から「大阪府+特別区」に変わるじゃないかと言うかもしれませんが、それは統治機構上の話にすぎません。「無駄を省く」といえば聞こえはいいかもしれませんが、大阪市と行政区の職員がそのまま特別区職員に再編されるだけ。得をするとしたら、政令指定により権限を一部市に委譲させられた大阪府というお役所だけですよ。権限が戻ってくると同時にお金(税収)が少し多く入ってくるようになりますからね。一方、府民や市民にとって良いことなど大してない。むしろ、市と行政区が統廃合されることでサービスが低下する方が大きいでしょうね。
 そして、「大阪都構想」の最大の問題は、地方自治体がその一存で決められることではないということです。地方行政をどうするのか、どういった形態で行うのかということを決めるのは国の専権です。仮に橋下大阪市長と維新の会の府知事が誕生し、「都構想は民意だ!」と叫んだところで、話は何も進みません。総務省と内閣が方針を決めて、国会で決めてもらわないことにはどうやったって大阪が「都」にはなれないのですから。だいたい、市長と知事がタッグを組めば「都」になれるというなら、既に名古屋市が解体され愛知都なるものに変わる手続きが進んでいるはずですが、そんな話、聞いたことありますか?河村名古屋市長と大村愛知県知事は共に「都構想」に賛同していましたよ?新潟も賛同していたはずですが、進みましたか?まるで進んでいませんよ。「これが民意だ」と有権者が示したところでね、どうにもならないことなんて民主主義下ではいくらでもあるんです。そんな大事なこと・肝心なことを敢えて黙って、「選挙で示せば、変わる」「変われば良くなる」とだけ主張するなんてね、はっきり言えば詐欺です。民主党のマニフェストを“サギフェスト”ともじったりしていましたけど、橋下知事と大阪維新の会のやっていることはあれと同じことですよ。少なくとも、「大阪都構想」に関しては。
 また、橋下大阪府知事って、「都構想」を口にしながら、大阪を都(日本の副都)にすることと矛盾する行為を思いつきでしすぎなんですよね。その最たる例が、エネルギーに対する考え方。原発依存率日本一の関西電力を抱えながら原発停止を求め、今夏の大阪の経済に深刻な打撃を与えるような行動をしたのは本当に致命的。あれは、本心から大阪の発展を望んでいるわけでは全くないということを、府民に、財界人に見せてしまいました。あれには、心底ガッカリしました。そう感じた人、少なくないと思いますよ。頭の回転が早いのは事実だし、改革派の知事として良い面素晴らしい面もあるんですが……あの人はどうしようもなく残念なところも少なくないんです。
 さらに、今回のダブル選挙は、橋下大阪府知事が大阪市長に鞍替え立候補するという点にも問題があります。現職知事が次期市長になるって何かおかしいと思いませんか?この行動はおそらく、2年前橋下知事の支援を受けて当選した政令指定都市・堺市の竹山現市長が就任後「大阪都構想」に反旗を翻してしまったことが影響していて、「裏切られるくらいなら、絶対に裏切らない自分が市長になる」ってことなのでしょうけど……だからって、“本丸”である大阪府を他人に任せるって戦略は正しいのでしょうか?それも、“本丸”を任せるのは、理念を通じた著名人候補ではなく、維新の会の幹事長(元自民党の大阪府議)です。著名人候補って聞こえがあまりよろしくない分、仕事で結果を出そうとするので“傀儡”とするには悪い選択ではないのですが、“傀儡”になるのが嫌だったのでしょう。やはり逃げられてしまいました。で、身内を担いだわけですけど……仮にも地方議員として政党に所属していた政治家の端くれです。そんな人が知事という権力の座について、府の官僚を顎で使う立場になって、“傀儡”であり続けられると思いますか?しかも、命令してくるのは(選挙に勝利したとして)立場上下位の市長ですよ。もって1年でしょうね。権力欲に目がくらんで反旗を翻すのは火を見るより明らかですわ。そんな、先の見えたショボくて破綻するであろう戦略を、わざわざ票を投じて賛同し、支援する必要があるのでしょうか?しかも、言っていることは詐欺ですし。
 ただ、この詐欺的な「大阪都構想」ですが、実現の可能性が皆無かというとそうでもないと私は考えます。大阪維新の会は元自民党の議員が多く在籍しています。それ故、自民党大阪府連とは犬猿の仲(当然だけど)だったりしますが、そこを逆手に取ってですな、次の総選挙の際自民党の選挙に全面協力することと引き替えに、自民党政権成立時には都構想を実現させることの確約を取り付けておくのです。表立ってする必要はなく、裏約束で構いません。そうしておけば、「国に決めてもらわないとどうにもならない」という問題はクリアできますし、自民党との協力体制があるってことは元自民党である“傀儡”さんへの首輪にもなるでしょう。一石二鳥ですよ……とはいえ、「敵を作って、民意を引きつける」という政治手法で、自民党を敵にすることが多かった橋下さんにそれができるとも思えないんですよねぇ。残念ながら。

 大阪の有権者はお笑いタレントに票を投じるので有名人なら誰でも投票する「アホ」と思われがちですけど、大阪人は人を見るという点では非常に長けた人たちです。彼の「独裁者志向」ってのが、「ただのワガママでしかない」としっかり感じ取っている人は多いんですよ。それに、「大阪都構想」なんて信じている人間は(私の周りでは)実際のところおらず、「他に任せられそうな人がいないから」など消極的理由で支持している人ばかりだったりします。
 したがって、今回のダブル選挙は決して安泰ではないと思います。平松現大阪市長は必ずしも良い政治家とは言えませんが、悪くはないですから、そう簡単に敗れないでしょうし、もし府知事選に強力な対立候補が現れたら市長選共々形勢が大きく逆転することも十分あり得ます。
 民意とは、権力者に都合良く用いられるためにあるわけではありません。ダブル選挙という、民意をはっきりと表現できる舞台ができたことはむしろ良い機会とも言えます。大阪の風雲児に賭けてみるのも良いし、その先の見えた暴走を止めてみせるのも良いでしょう。どっちを選んでも、その選択の責任は有権者が自分たちで取ることになるのですから。
 大阪の有権者の賢明な判断が下されることを、私は期待しますよ。

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