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2011年7月 7日 (木)

人の苦労を台無しにするということ

 政府が昨日、国内全ての原子力発電所を対象に、新たに安全性確認のためのストレステストを行うと発表しました。これにより、九州電力玄海原子力発電所でようやく取り付けられそうになっていた「地元の合意」は、ご破算になりました。玄海町長は原発再稼働の了承の撤回を表明し、佐賀県知事も不信感を表明していますね。
 ストレステストというのは原子力発電所の安全性を評価する健全性検査のことで、シミュレーションで行われます。EUがまず実施を宣言しIAEAがこれに乗っかる形になっていまして、EU域内では今年後半までに自主的に行われるようです(すでに始まっている模様)。IAEAとしては今後1年半ほどをかけて全世界で実施したいと考えていたようですが、世界第1位の原発保有国アメリカは先週2日にテスト実施を拒否しました。おそらく、ロシアや中国なども拒否するんじゃないですかね。そのストレステストを、なぜか突然今になって菅首相が実施するよう命じたというのがことの顛末のようですな。
 なぜ今なのか。
 そりゃ、もちろん、玄海町長が全国の原発立地に先駆けて原発再稼働を了承し、あとは佐賀県知事が了承しさえすれば玄海原発が再稼働してしまうというタイミングだったからでしょう。5日に佐賀県知事が首相を面談を申し込んでいるから会ってほしいと海江田経産大臣に言われたのを菅首相が渋ったという記事があります<毎日新聞の記事>。“脱原発”を掲げて解散総選挙をしかけるとまでウワサされている人が、原発の再稼働を容認なんてしたら拠り所を失いますからね。誰かが悪知恵を絞って、EUで実施されるストレステストをすれば再稼働を先延ばしできると進言したのでしょう。あと、九州電力の「やらせメール」をセットにして(九州電力もどうしてこんなつまらないことをこんな大事な時にするんですかね。最低の行為ですよ。やってどうなるというのか?)。で、まんまと成功したと。ご破算にするの本当に得意ですね、菅首相って。
 ですけど、これにより、“身内”のはずの海江田経産大臣のメンツは丸つぶれになりました。首相がサミットで国際公約してきた原発再稼働の要請役をやらされ、地元の理解を得るために佐賀県知事に頭を下げることまでしてきたのに、最後の最後でつぶされちゃったわけですから。そして大臣と一緒に走り回ってきたであろう経産相のお役人も、仕事をすべて台無しにされたわけです。もっと困るのは佐賀県知事であり、了承までした玄海町長さんでしょうな。数々の反対意見、特に全国の原発反対派の怨念をはねのけてまでの政治決断を、ご破算にされたわけですから。政治生命に関わる問題だと思います。首相交代とか余程のことでもない限り、もう1度了承するということはできないんじゃないですかね。こんな恐ろしい“ちゃぶ台返し”を見せられては、他の原発立地の首長さん達も再稼働容認はできなくなったことでしょう。自分の政治生命を、菅総理につぶされるわけにはいかないですから。
 しかし、考えてみて下さい。ストレステストなんて大層な名前ですけど実際何をするのかといえば、コンピュータシミュレーションです。想定される条件の入力次第で、どうとでもなるものです。可能性全てについて想定をすれば世界中全ての原子炉を止めなければならなくなる(壊れない機械なんてありえませんからね)一方、どうでもいいような想定であれば全ての原子炉が合格するのです。国際機関たるIAEAが内容を規定したものではないし、EUといったって原発推進国のフランスやイギリスが喜んで受けるテストですよ?基本的にパスするものに決まってますわ(パスしない原発が出たとしても、せいぜい古すぎる原子炉を新型に置き換えるための理由付けに利用されるぐらいなものでしょう)。そもそも、安全性の認証テストなんて、原発作る時点でやってますからね(何かあればこの国にも放射性物質を撒き散らす中国や韓国の原発はやってるかどうかわかりませんけど)。こんなのを実施した程度で「安全性が担保される」と喜んでいる人がいたとしたら、その人の神経を疑います。日本ではどんなテストをするのかわかりませんが、こんなの政治的な時間稼ぎ以外の何ものでもないし、こんなものに税金を費やすとしたらムダでしかないですよ。
 そして、こんな“ちゃぶ台返し”で、首相の配下たる官僚達の士気はさらに下がったでしょうな。官僚達はもうすでに誰も仕事を積極的にしなくなっているようですけど、真面目に仕事したらこれですもの。私も何度か経験ありますけど、人の苦労を台無しにしてそのことで笑う人間ってのが上にいるとね、やってられないんですよ(台無しにされることは往々にしてあるんですが、その原因が笑うと、ね)。その上、台無しにして笑っている人間を賞賛する人間まで複数いると……下が一切やる気なくして組織がダメになる典型的なパターンだと思います。人の苦労を台無しにしておいてそれを笑える人間ってのは「優しさがない」「思いやりがない」「上司としてどうか」「社会人としてどうか」とかいう次元じゃなく、人間として絶対的にダメなんです。ついていけるわけがない。誰もあの首相の命令でまともに仕事なんてしないでしょうな。ま、「官僚叩き」ばかりやってる国だし、1度官僚組織を瓦解させてみるのもいいかもしれませんね。誰も日本国を支えないならどういうことになるのか、我々国民が知ってみるのもいいでしょう。
 さらに、浜岡原発に続いて政府は2度も“ちゃぶ台返し”をしたわけで、もう原子炉再稼働は事実上無理でしょうな。少なくとも、菅直人って首相がいる間は不可能でしょう。で、来年あたりには日本の全ての原子炉が止まると。原発反対派からすれば最高の首相なのかもしれませんが、彼はサミットで原発を動かしてこれからも頼ると世界に約束したのです。それすら反故にして、「自然エネルギー」というキーワード(思いつき)のためにルールを破り続ける人間が人の上に立ち続けて良いものでしょうか。日本経済の基幹たる産業、そして日本の酷暑を乗り切らなくてはならない国民の健康と生命が、そんな人間の思いつきによるエネルギー不足で脅かされて良いのでしょうか。私からしたら、こんなことは冗談じゃないですよ。人間として絶対的にダメな男の理想だか野心だかのために、失業させられ、健康どころか生命まで奪われては、たまらないです。個人レベルでもそうだし、社会レベルでもここまで「エネルギー不足」というものを考えない政府の下で産業なんてやってられないし、やっていてはいけないとも思います。もし私がメーカーの社長であれば、工場は日本から移しますね。この上税金まで上げるなら、会社ごとシンガポールとかに移しますよ、本当に。何とか日本に留まってほしかったんですけど、政治がこのままなら今年中にさっさと移した方が良いでしょう。そうならないよう日本のために尽力した経産相のお役人同様、あの首相に苦労を台無しにされて笑われて、あんなのを支持する人たちに一緒になって笑われるだけですから。彼らは「工場なんて日本から出て行け」と言っているのと同じです。とんでもない国になりましたわ、この国は。

 原発は推進、維持、反対といろいろ意見があってしかるべきですし、もっともっと激しい議論が必要だと思います。けど、菅直人という人はそんなことを無視して、自分の以前の行動や人との約束や部下の思いを踏みにじってでも「脱原発」のフリをしながら「反原発」で勝手に推し進めていくだけですからね、今や。政治主導でもリーダーシップでも何でもない。独りよがりの身勝手な暴挙です。許せないですよ、国家という組織をただのワガママで破壊するなど。政治家としてではなく、もはや人として許されない。
 自民党の石破政調会長が「内閣不信任案再度提出」を口にしたという報道もみましたけど、こんな事態に至ってはそういう“禁じ手”も使うしかないのかもしれませんな。もし不信任案が受理されて本会議で可決されるようなことになったら、向こうは選挙無効になるかもしれない解散総選挙を本当にしかけてくるのでしょうかね?ま、そうなったら「望むところ」、かな。私は絶対に許しませんから、こんな暴挙をしている人間を、その暴挙を共に笑う連中を。

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