« 内閣不信任案否決 | トップページ | iOS 5に、PlayStation Vita »

2011年6月 4日 (土)

是々非々

 大阪の地域政党・大阪維新の会の提案・賛成で、大阪府内の公立学校の教職員に国歌斉唱時の起立を義務づける条例案と府議会の議員定数を大幅に削減(109→88)する条例案を府議会で可決したようですね。議員定数削減条例は強行採決したとか。
 やり方などに問題がないわけではないですが、私は基本的にどちらについてもその趣旨に賛成です。
 まず、教職員に対する起立条例ですが、公立学校の教職員ってのはあくまで公務員です。日本国民/地域住民の税金から給料を受け取っている身であり、日本国憲法の尊重擁護義務を負い(憲法99条)、法令や条例・規則・規程に従いかつ上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない存在です(国家公務員法98条1項/地方公務員法32条)。にも関わらず、国旗及び国歌に関する法律に反する態度で、上司たる教育委員会の指導にも応じず、式典などで公然と着席し続けるのが許されるなんてのはどう考えてもおかしいですよ。その理由が背後に教職員組合の存在があるからというのもまたおかしい。思想信条の自由(憲法19条)は絶対的保障とは言いますが、公務員である以上99条により一定の制約があるのは当然ですから、その侵害であるというのは理由になりません。どうしても嫌なら、私立学校の教員になれば良いのです。任免権者による処分は、免職も含めてむしろ当然かと思いますよ。
 また、府議会の議員定数削減も、やむなしかと思いますね。たしかに、住民意思をしっかり府政に反映させるにはそれを代表する議員も一定数必要でしょうけど、「109人でなくてはならない」という理由は私には理解できない一方、「10万人に1人の割合=88人で良い」という大阪維新の会の考え方が合理性を欠くとも思えない。なら、88人でもいいじゃないかと思いますな。府議会で議論せずに採決を強行したってのは問題ですが、大阪維新の会は議員定数削減を公約として直近の府議会選挙で過半数を占めたわけですからねぇ。議事手続きに瑕疵がないのなら、条例に従って議員定数を減らすしかないですな。
 ただ、「基本的に賛成」というだけであって、「全面的に賛成」と言うつもりはありません。
 日教組問題もあるし、教職員組合が異常に強い日本の教育現場を何とかしてほしいという気持ちは私も強く持ってはいるのですが、だからといって「(相手が教組なら)何をやっても構わない」と言うつもりはありません。今回の起立条例は「国歌斉唱時に起立せよ」と義務づけているだけなので賛成ですけど、たとえば「国旗に対して万歳三唱せよ」と義務づける条例だったら反対です。国旗及び国歌に関する法律は「国旗は日の丸、国家は君が代」と定めただけの法律であって、それを礼賛せよと定めたものではないからです。国歌斉唱時に起立しない行為は君が代を国歌と認めないような態度だから私も許せないのですが、仮に「国歌斉唱時は必ず斉唱せよ」となると……かなり難しくなるでしょうね。この線引きはかなり難しいところなんですけど、弁護士である府知事はともかく、大阪維新の会のメンバーってこの辺の所を本当に明確に説明できるんですかねぇ?極めて疑問です。
 それに、議員定数の問題も「10万人に1人の割合」という府知事の示した明確な基準があるからいいようなものの、大阪維新の会のメンバーってちゃんと自分の言葉でこの問題を語ることができるんですかねぇ?本来できて当たり前なんだけど、できるのなら反対する他の府議としっかり議論するはずですよね。議論しなかったのは「ボロを出さないためなんじゃないか」って邪推したくなるんですよ、端から見てると(名古屋市議会の例もありますしね)。
 正直なところ、大阪維新の会ってのは信用できないです。あの大阪府知事は比較的しっかりした考えがある才能ある知事(政治家)だとお見受けするのですがね。その知事の知名度にただただ乗っかってるだけの連中に見えてならないですわ。にも関わらず、“対日教組”って観点だけで大喜びして、「全面支持」とか簡単に言っちゃう連中がネットには多く見受けられますな。「浜岡原発停止要請」のときもそうでしたが、政治を一面的観点だけで決めつけてしまう人がどうしてこうも多いんですかねぇ?そんな偏狭な視点でしか物事を見ないで、今の複雑な世の中を渡っていけるはずがないと思うのですが。そんな決めつけ方をするのなら、同じく“単細胞”な鳩山前首相や菅首相を悪く言う資格もないと思いますよ。変わりはしませんよ、あの人たちと。
 それに、その大阪維新の会の頭領たる府知事さんもねぇ。結局、今回の条例案も「大阪都構想」にとって重要な大阪市長選に向けての“人気取り”政策でしょ?その「大阪都構想」だって、そもそも国が認めて国会が法律を改正しなきゃ実現不可能なわけで、肝心の手続きを府民に黙ってるあたりが実に「まやかし」的で……実際「都」になったところでどうなんだか誰もわかりませんし、具体的な説明もしてくれない。それより何より、今年の夏に関西の電力供給が安定していれば関西経済は大きく潤ったのに、大阪市が筆頭株主(9%弱を保有)な関西電力に圧力をかけるべく“脱原発”を唱えて点検中の原発再稼働を遅らせ、府下には“節電”を求めて関西地区の工場フル稼働を阻止するとは……「うまくいかないのは関西電力ひいては大阪市のせい」とでもしたいんでしょうけど、そんなことに民衆の暮らしを巻き込むってどうなんですかね?選挙に勝つためのパフォーマンスに怠りはないけど、その行動には一貫性がないし、府民の幸せにはつながっていないんですよね。実際のところ。
 マスコミがそうは一切報じないので、大阪府民ははっきりそうだとは認識していないですけどね。何となく感じ取ってはいるんですよ、「おかしい」って。気をつけた方がいいですよ、大阪人は言うほどアホじゃありませんから。有能な府知事さん。

 最近は、国政でも地方でもこういう“人気取り”政策が花盛りですけどね。結局、その本質は何だかんだ言っても見透かされ、うまくいかなくなるんです。方向性が正しかったとしても、底が浅い政策なんてどこかで破綻するんですよ。必ず。
 今回の大阪府の条例案は画期的ではあります。しかし、議論を尽くさない、本当の目的は別の所にあるなど、やはり「底の浅さ」がつきまとっています。
 ま、それでも良い面はあるわけだし、改革にもなるわけですからね。私たち一般市民は良いところは受け入れ、悪いところは批判し改めさせる「是々非々」で対していくしかないんでしょうな。

|

« 内閣不信任案否決 | トップページ | iOS 5に、PlayStation Vita »

重い話」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 内閣不信任案否決 | トップページ | iOS 5に、PlayStation Vita »