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2011年5月 3日 (火)

ツインユニットシステム ~その1

 先日購入したビクターのインナーイヤーヘッドホン・HA-FXT90ですが<記事>、30~40時間ぐらいは間違いなくエージングしたと思うので、私なりのレビューを書いてみたいと思います。

Hafxt90_1
 購入したのは、数量限定モデル(HA-FXT90LTD)の方です。ハウジングとコードが赤色になってます。うちにあるイヤホンはほとんどが黒か銀色、たまに白があったりする程度なので、「赤ってのも面白いか」と考えてこちらにしてみました。メタリックで、純赤と朱色の中間ぐらいの赤です。質感は悪くないんですけど……さすがに刺激色だけあって目立つことは目立ちますね。赤は赤でもルビーレッドかマルーンのような落ち着いた赤ならもっと良かったかも。カラーコーディネートに気を使う人は通常の黒モデルが無難に思います。

Hafxt90_2
 HA-FXT90にはダイナミック型のドライバーが2基入っているとはいうものの、イヤホンとして特段大きいわけでも重いわけでもありません。上の写真のように、ウォークマンNW-X1060付属のノイズキャンセリングイヤホンと大きさはほぼ同じというか、むしろ小さいくらいです。装着感も良く、私が着けるとNW-X1060付属は歩いてるうちにすぐずれたりするんですが、HA-FXT90はほとんどずれなかったりします。遮音性や音漏れは、カナル式として並程度じゃないかな。外の音もそれなりに聞こえることは聞こえるし、音漏れもしないわけではないです。ま、ダイナミック方式ですからね。音漏れ皆無を求めるなら他の選択肢をということで。

Hafxt90_3
 メタルハウジングとイヤーピースの間の部分はスケルトンになっていますが……スケルトンといってもクリアーじゃなくグレーなので、ツインシステムが丸見えというわけではありません。上から強い光を当てると、なんとか写真のように中身が見えたりする程度です。
 インピーダンスが12Ω、出力音圧レベルが107dB/1mWとされていますが、iPodやウォークマン直挿しで聞こえてくる音量は控えめです。他のイヤホンを使っている場合よりボリュームを1段上げると、音量が同じくらいですな(※1段上げれば足りる程度の差ですから、「音量が取れない」という意味ではありません)。

 音質は……以前書いた通り、高域に特徴がある音に思います。再生周波数帯域が8~25000Hzとされていますけど、たしかに低域から高域まで広く出ているように感じますし、その全域で解像感もあって細かい音までよく拾って再生します。中でも、金属的に響く高域は目立つ感じで、シンバルや鈴の音、金管楽器などの音色が他のメーカーのとは違いますね。ギターの弦とかも生々しく聴こえますし、中域から上の表現力はなかなかのものだと思いました。
 ただ、この高域の表現力というのが良いときは実に良いのですが、曲によってはキンキンと脳に響く耳障りな表現になることがあります。うちで現役のDAPはiPodが4th nano/3rd touch/5th nano、ウォークマンがNW-S739/NW-X1060なので<こちらこちらを辿っていただければ、各機種の記事があります>、それぞれに挿してエージングも兼ねていろんな曲で音をチェックしてたんですけど、傾向としてシンセサイザーなど電子楽器の高音が苦手みたいです。シェリル・ノーム starring May'nの「ユニバーサル・バニー」って曲があるんですけど、これが出だしから聴いていられないほどキンキンと脳に響くんですよねぇ。坂本真綾の「トライアングラー」も高音がキンキンして辛い。菅野よう子女史の曲全部がキンキンなわけではないけど、HA-FXT90で聴きたいとは思わなかったりします。古くはYMOの「RYDEEN」でもキンキンした感じだし、「頭文字D」のユーロビートでさえキンキンしちゃって聴き辛い曲が……エージングで多少緩和された感もあるんですけど、最も頭が痛くなる「ユニバーサル・バニー」のキンキン感は結局解消されませんでした。生楽器なら、ほとんどが良い感じで再生してくれるんですがねぇ(※クラシックは聴かないので不明です。ジャズはイイ感じ)。
 あと、そのキンキン傾向は、ウォークマンよりiPodのほうが顕著に思いました。5th nanoが一番酷くて、次が3rd touchで、4th nanoはiPodの中ではマシな感じ。また、ウォークマンではNW-X1060の方がキンキン感が強く出ます。他方、NW-S739だと、なぜかキンキン感が緩和されるんですよねぇ……クリアステレオの効いたS739よりX1060の方がフラットでおとなしい高音だと思ってたんですが、よくわかりません。何かしら相性があるんでしょうな。
 ビクターではHA-FXT90の売りを「圧倒的な音の厚み、スケール感」としていますが、「音の厚み」という点では正直納得しかねます。たしかに低域も出ているし、中域もしっかり出ていると思うのですが、「厚み」ってほどではないと感じます。ツインユニットシステムといっても当然ながら「2つが合奏している」ようには聴こえませんし(聴こえたら逆に不自然極まりない)、全体的には高域寄りの音なのでどちらかといえば軽く薄く感じるんですよね。あからさまに軽くて薄い音ではないけれども、「厚いか?」と聞かれたら「厚くはない」と私は思います。また、「スケール感」というのも、解像感を指すなら間違いなく「ある」んですけど、空間表現力を指すなら「ない」です。イヤホンに空間表現力というのもヘンなんですけど、後で比較するソニー MDR-EX800STと比べると明らかに音場は狭いです。MDR-EX800STからはスタジオ程度の空間の広さが感じられる一方、HA-FXT90は耳元で鳴っているようにしか聴こえないですから。ビクターのヘッドホン/イヤホンを買ったのは今回が初めてなので、ビクター製品の中では「音は厚く、スケール感がある」のかもしれませんが、他社製品と比べて特に「音は厚く、スケール感がある」とは私には思えませんでした。

 私は低音より高音重視派なんですけど、歳をとったからか、最近は低音ドンドンでも高音キンキンでもなくバランスの良い落ち着いた音を求めるようになったのかもしれません。そういう観点からすると、HA-FXT90はあまり適していなかったように思います。ツインユニットシステムの効果は?といわれても「特段のものはない」としか私には言えません。
 ただ、音の金属感や解像力は間違いなく素晴らしいものがあります。また、実売1万円程度という点でも、うちにあるそのぐらいの値段だったイヤホンのソニー・MDR-EX90SL/MDR-EX500SLと比べて劣るところは全くなく、妥当なものです。この値段で万能である方がおかしいんであって(1万円で万能だったら、何万もする製品を誰も買わないはず)、差異は音の傾向が違うから得意分野が異なる程度。品質でいえば、むしろこちらの方が高いかも。DAP付属のイヤホンよりはるかに高いレベルの音を出すのは間違いないし、高音の金属感や音の解像感を何より重視する人ならHA-FXT90も試してみるだけの価値はあると思いますよ。

 次回は、うちにあるイヤホン・ソニー MDR-EX800STなどとの比較を書いてみたいと思います<こちらです>。

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