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2011年5月31日 (火)

ここで内閣不信任案ですか

 自民党と公明党が、衆議院に内閣不信任案を明日にも提出すると息巻いているみたいですね。

 内閣不信任案の採決で、否決されれば当然現内閣は信任されたことになります。不信任しようとした勢力は面目丸つぶれですな(今のところ、丸つぶれになりそうな雰囲気ですけど)。
 一方、賛成多数で可決されてしまった場合、首相が10日以内に衆議院を解散しない限り内閣総辞職となります(憲法69条)。ただ、解散しなければならないというわけではないので、さっさと総辞職してしまって総選挙なしに多数派で新たな内閣総理大臣を選任し、新内閣を発足させることも可能です(前に書きましたけど、この時点で菅内閣を倒すのであれば総辞職してもらって迅速に新内閣を発足させるべきというのが私の持論です)。

 菅内閣は今の通常国会を会期延長せず閉会にするとかふざけたことを言ってますし(復旧復興関連の特別立法をほとんどせずに国会を閉めてしまえとか……震災被害をどう考えているのやら)、「どうせ閉会になるなら“政治空白”は問題にならないのだから、解散総選挙すべき」という考え方もわからなくはありません。
 しかし、それでも私は内閣不信任を受けて現時点で解散総選挙というのは論外だと思います。理由は以下の3点。
○被災地で選挙ができるのか
 特例法により4月に行われるはずの統一地方選挙の投票日が延期され、まだ選挙を実施できていない所が多い中で、内閣総理大臣が解散総選挙をやってよいものなんでしょうか?
 菅内閣は「国政選挙は別」という方針のようですが……被災地で立候補者がまともな選挙運動をできるわけないし、所在どころか生死さえあやふやな被災地の有権者全員に投票の機会を平等に保障できるとは到底思えません。選挙権も被選挙権も侵害されると思われる選挙を許して良いんですかね?
 前にも書きましたが、今この状況で国政選挙だなんて2008年のミャンマー軍政以上の暴挙だと思うのですがね。
○一票の格差は
 最高裁が、今年の3月23日に「1人別枠方式」を採用して投票権に最大2.30倍の格差があった前回の衆院選は投票価値の平等に反する違憲状態にあったとする大法廷判決を下しました。判事15人中12人の多数意見であり、これは重い判決です。実際、この判決を受けて今国会で選挙区定数を5議席削減して格差を2倍未満にする改正案を超党派で提出する動きがあります(「1人別枠方式」には手をつけないので、あくまで応急措置)。
 にも関わらず、この応急措置すらなされないままに解散総選挙をするというのはどうなんですかね?違憲状態と断じられた状態のまま、違憲状態と知りつつ選挙をやる……極めて悪質な、憲法に違反する行為ではないでしょうか?
 この点についても菅内閣は「首相の解散権は制約されない」という解釈らしいのですが、上記の特例法との整合性がない/被災地での選挙権侵害も考え合わせると、現時点での総選挙は「選挙無効」という判断を下すべき事例になってしまうのではないかと私は考えますよ(もし「選挙無効」が確定したら、選挙結果が無効となるためやり直しになります)。
○誰に投票するのか
 これは本当に選挙になってみないとわからないことですけど……今選挙になったとして、何が争点になるのでしょうか?民主党政権に対する信任という点だけなら、「No」が多数を占めるでしょう。自民党&公明党はそうなることを目論んでいます(6/2追記:自民党の谷垣総裁は、不信任案採決前に「首相は解散総選挙できない」と発言したようです。首相に不信任を突きつけた政治家が、どうして総選挙になるはずがないと考えるのでしょうね?総選挙を想定していなかったとしたら、極めて疑問です)。ですが、信任不信任だけで済みますか?衆議院となると今後解散されない場合のことも考慮し、選挙以降4年間の日本を考えておかなければなりません。となれば、これからの復旧復興をどうするのか、これからの日本のエネルギー政策はどうするのか、これからの国家財政をどう考え本当に増税するのか、これから日本はどうやって稼ぎ食べていくのか……今選挙で国民に政治を問うとなると、大変なことになります。十分国民を納得させられなければ選挙には勝てませんし、納得させられないような勢力を勝たせてはいけません(前回民主党を勝たせたことで懲りたはずです)。
 たしかに与党はてんやわんやでこれら諸問題に対する提案など準備できておらず不利になるでしょうけど、野党だってその点では同じです(もしできていたら、その党が一方的優勢になってますよ。与党があのザマなのにそうなっていないってことは、どこの党も同様)。はっきり言って、日本の有権者がまともであれば、選挙期間中窮地に陥るのは民主党も自民党も他の既存政党も同じだと思えますな。失望するしかないですから。結局、わけのわからん「○○維新の会」みたいなのが湧いてきて、聞こえの良いことだけ言って半端に議席を獲得してしまう気がします。自分たちだって国会でロクに復興プランを提示していないくせに総選挙だなんて、自民党は読みが甘すぎますよ(もしかして、自民・公明/民主党/その他で「天下三分の計」か何かですか?ああ、それは凄いわぁ)。
 もっと言わせてもらえば、谷垣総裁を総理大臣にしたい人って極めて少数なんですよ?(世論調査を見る限り、民主党議員を推す声が依然強く、自民党議員では石破政調会長を総理にって人の方がずっと多い)。それなのに政権選択選挙に勝てるだなんて「バカも休み休みに言え」と言いたいですね。

 今このタイミングで総選挙だなんて愚策以外の何ものでもないと思います。もし本当に総選挙となってしまったら……正直、投票に行く気にならないかも。私は「そんな選挙は無効だ」と考えてますから。無効な投票をするために投票所に足を運ぶなんて、いくら国政選挙でもイヤですし。
 さらに、このタイミングで内閣不信任案提出ということ自体、私は気に入らないですね。通常国会の会期はまだ残っています。審議が尽くされていないのは誰の目にも明らかでしょう。審議を尽くしてからでも遅くはないはずです。それに、賛成多数で可決するには与党内の小沢一派が賛成に回ることが必要ですけど、仮に彼らが離党して新党を立ち上げたとしても自民党と公明党は組む気ないのでしょう?なのに、解散権という内閣総理大臣の専権の行使を当然のこととした策ってどうなんですか?行使しなかったらどうするんです?解散なしに総辞職されちゃったら、新たに政権を作るしかないわけで、そうなったらどうやっても小沢一派に頭を下げるしかなくなります。現政権側の民主党であれ、自民公明であれ、政治的多数派形成のために妥協に妥協を重ねざるを得なくなって日本の政治は今以上にグダグダになりますよ。やるんなら、もっと用意周到にやってもらわないと困るんです。特に今は“国難”なのだから。

 民主党の政治には呆れ果てましたし、菅政権のやっていることはめちゃくちゃだと思います。さっさと退陣してもらいたいです。
 しかし、だからといって「そのためには何でもやってくれ」なんて微塵も思っていません。
 一般国民のためにならない無責任な政治をしようとする人間は、どこの政党であれどの政治家であれ主権者として私は許しませんよ。何事であれ、やるのならば責任ある対処をして下さい。しっかり準備をし、筋を通してから実行して下さい。

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