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2011年5月26日 (木)

太陽光パネルを設置せよ?

 菅首相がOECD設立50周年記念行事で演説し、自然エネルギーが国内の全発電量に占める割合を現状の数%(※一昨年の段階で9%程度のようです)から20%に高める方針を表明しました。今までは2030年までとしていたところを、2020年代のできるだけ早い時期に実現するそうですよ。
 20%にしようと思うと自然エネルギーの発電量を現状の倍以上にしないといけないのですが、首相は「設置可能な1000万戸の家屋への太陽光パネル設置」を掲げ、太陽光発電のコストを「20年に現在の3分の1、30年には6分の1に引き下げる」という具体的数値目標を示すことで実現可能だと言いたいようですな。
 ああ素晴らしいですね~。偉大なる某IT企業社長がご執心で、小汚い“利権”なんてなーんにもないとされるクリーンエネルギー、ああ美しいですね~。皆さん、エコですよ、ECO!環境に優しくて、地球にも優しいですよ~。

 しかし、どうやって実現するんでしょうね?
 そもそも太陽光パネルで発電できる量というのはたかが知れているんですが、日本の年間電力需要は約10億kWhってところでして、もし本当に1000万戸にそれなりの大きさ/変換効率の太陽光パネルが新たに設置されれば、10%にあたる年間1億kWhをそれで賄うことは計算上十分に可能だったりします。が、1000万戸という数は並大抵じゃないですよ。UHFアンテナを設置する“地デジ化”でさえままならず文句タラタラなこの国で、太陽光パネル普及ねぇ。しかも、15年以内でとなると……設置義務法制化・罰則つきにでもするんですかな?
 また、そのコスト負担は誰がするかというと……私たち国民が負担します。その太陽光パネルは、私たち国民がお金を出して買って業者に設置してもらわないといけないからです。この点、政治家センセイ方は「電気代の支払いが減り、余剰電力を電力会社に買い取らせるから、設置コストは回収できる」とでも仰るのでしょうけど、電力会社は利用減少分と買取コストを電気料金に還元するだけですな(スペインで実証済み)。「補助金を出す」と仰られても、その財源は税金。結局のところ、購入代金や電気料金や税金などと形は変われど全額国民が払う、それだけです。あと、太陽光パネルは耐用年数が何年あるのか正直よくわかりません。「10年ほどで交換」という話もありますけど、その交換コストは誰が払うのかと言えばもちろん国民です。政府の懐は何も痛みません。これで「エコでクリーン」とでも言えば支持する人が増えるのだとすれば、ボロい商売ですねぇ、政治って。
 で、コストを国民に払わせて設置した太陽光パネルは家の屋根に後付けで設置する他なさそうですけど、例えば私の家みたいに地形的に強い風が吹き付ける家の屋根に大きなパネルを後付けで載せると危険なんですわ(※新築なら、屋根そのものを太陽光パネルにすることもできそうですが……新しく家を建てる予算など、私にはありません。そうしたらそうしたで、交換するときは屋根交換となってしまうので大変)。豪雪地帯なんて、危険という点ではもっと厳しいでしょうな。なんか後付け故に雨漏りするとかって話も聞くし。それに、重いから、地震が来たら重すぎる屋根に家が耐えきれなくなってペシャンコになるリスクは高まりますなぁ。大地震が来たから今の日本はこんなことになってて、東海地震が間近に迫っているというから浜岡原発を法的根拠もなく停止したっていうのに、地震リスクを別の形で高めることを庶民に施すのが政治というものなんですね。勉強になりますよ。

 太陽エネルギーというのはまさに人智を超越した膨大なものであり、太陽光発電という方向自体は必ずしも間違っていないと私も考えるのですが、現時点の技術で国家のエネルギー戦略として持ち出されると「どうなのかなぁ」と思います。「電力の安定供給」という観点からすれば、太陽光発電はエネルギー源として無理がありすぎるからです。「太陽光パネル=ソーラーパネル=太陽電池」と聞いて、何を想像しますか?私は腕時計です。私はシチズンとカシオのソーラー電波時計を愛用していますが、地上で用いるものではそれぐらいしか太陽電池を動力とする実用的な機械を私は知りません(電子計算機は補助電源として別にボタン電池がある場合が多い。ソーラーカー?未だに電動自転車の域を出ていませんが、何か?)。太陽光発電の現実はその程度でして、「大気という紫外線フィルターのない宇宙空間にパネルを並べて発電し、地上に送電する」というイノベーションでもない限り、太陽光で電力需要を賄えるという発想は現状「まやかし」でしかないと思うのですよ。
 今回の話は「電力の一部を賄う」としか言っていないので、厳しく突っ込むことはしないですけど……正直なところ、今回の首相の真の目的は「実際は原子力発電を維持する」ってことに対する政治的カモフラージュなんじゃないかって気がしますね。「まやかし」の前段階である「ごまかし」ってところかな。

 ま、原子力発電に反対で、節電に賛成で、自然エネルギー転換政策を熱烈に支持される皆さん、可能な限り大型で高効率な太陽光パネルを全力でじゃんじゃんお買い上げ下さいませ。
 私は技術革新がなされ、さらにじゃんじゃん買われることで3分の1なコストダウンが本当に実現してから、考えるとしますよ。

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