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2011年5月 4日 (水)

ツインユニットシステム ~その2

 ツインユニットシステムのその2ということで、今回はビクター HA-FXT90とうちにある他のイヤホン/ヘッドホンと比較した感想を書いてみようと思います。

 大したラインナップというわけでもないのですが、うちにはいつの間にやらイヤホンやヘッドホンが増えています(勝手に増殖している気がするw)。以前NW-X1060の記事に書いたソニーのMDR-EX90SL/MDR-EX500SL、オーディオテクニカのATH-AD700/ATH-W1000は今でもあります。その後、iPod用にオーディオテクニカのATH-CK90PRO<メーカーページ>を購入したり、今年になって“スタジオユースのインナーイヤーモニター”の謳い文句に釣られてフラフラとソニー MDR-EX800ST<メーカーページ>を購入してしまったりしてたんですよねぇ。まぁ、せっかくあるのなら、それらと“ツインユニットシステム”HA-FXT90を比較してみようかと思った次第です。
 とりあえず、並べてみるとこんな感じです。

Hafxt90_4
上がMDR-EX800ST。値段的には一番高いですし、大きさも一番大きい感じ。下段の右からATH-CK90PRO、HA-FXT90、ウォークマンNW-X1060付属のノイズキャンセリングイヤホン。左は4th iPod nano付属のイヤホンです。カナル式でもないし音がアレなので、こちらはあくまで大きさの参考ということで。
 あと、簡単に説明しておくと、ソニー MDR-EX800STは16mmの大口径ダイナミック式ドライバーを搭載し、スタジオユースのプロ用機器として販売されています。パッケージはタダの白い箱で、量販店では売ってなかったりするので(最近は扱うところが増えつつあるけど)その点は注意を要する製品です。オーディオテクニカ ATH-CK90PROは、バランスドアーマチュア式ドライバーをデュアルで(2基)搭載したモデルで、これも“モニターサウンド”を謳い“PRO”と銘打っていますがこちらは普通に量販店で買えます。ウォークマンNW-X1060付属のノイズキャンセリングイヤホンは13.5mm径のダイナミック式ドライバーを搭載したもので、ノイズキャンセリング用の集音マイクが付いています。現行のノイズキャンセリングウォークマン付属のものとはちょっと違う、古いタイプですね。

 私はノイズキャンセリング(NC)機能に惹かれてウォークマンを愛用しているため、ウォークマンで外出する際は基本的に付属イヤホンを使っています(これを使わないと、NC機能が自動的に無効化される)。音質は可もなく不可もなくで、1音1音が軽くて伸びもない感じではあるけど、低音から高音までバランス良く鳴ります。これが一番聴き慣れたイヤホンなので、これとウォークマンX1060の組み合わせをここでは基本の音とし、それとの比較で音を評価してます。
ATH-CK90PRO
 うちにある唯一のバランスドアーマチュア式イヤホンなんですが、これの音を初めて聴いたときはびっくりしましたねぇ。解像感というより分解能と言った方がピッタリくる感じで、1音1音を分解して解析したように再生してくれるんですよね。オーディオテクニカといえば高域がキレイなイメージですけど、これにそんなイメージはなく、“直球ど真ん中”って感じで中域を明快に再現してくれます。中低域も出るしバランスよく聴けるので、ボーカルメインの音楽にはぴったりだなぁと思い、アニソン中心のiPod用に使ってきました。
 が、改めて聴き比べてみると……音が解析的なだけで、音にツヤとか色気とかが感じられないことに気がつきました。特に高域。HA-FXT90のキンキンすぎるところは問題なんですけど、それが故にキラキラして解像感のある高域が奏でられたりもします。そのキラキラ感みたいなものが、ATH-CK90PROはごっそり抜け落ちているように聴こえます。低音もドンってパワーがないので、音は軽いし。耳障りな音は一切なく、高域だって音はちゃんと鳴ってるんですが……これがバランスドアーマチュア式とダイナミック式の差なのかなぁって感じです。
 あと、値段はそれなりにするのに、プラスティックそのものの外観で「素っ気なさがPROっぽいでしょ」としかフォローできない質感の無さはちょっといただけないですね。
MDR-EX800ST
 私は高域重視ではあるんですけど、元々バランス良く鳴るスピーカーが好きで、“モニター”って言われてるものの音が好みに合っていると感じていました。実際、メインのオーディオシステムにはイギリスのモニタースピーカー屋・B&Wのものを使っていたりします。そのため、「プロ用のインナーイヤーモニター」などと言われると「聴いてみたい!」という衝動が持ち上がって、いつの間にやらうちにあるという結果に。
 で、実際その音を聴いた際はたまげましたねぇ。ATH-CK90PROの“モニターサウンド”ってのも最初びっくりしたけど、次元が違う。「これはすげぇ」って笑っちゃいましたよ、思わず。なんか深いんですよ、音が。フロアスピーカーとかヘッドホンならわかるけど、インナーイヤーでこんな音が聴けるとは……「値段だけのことはある」って実感しましたね。あと、iPodでもそれなりの音を出すんですけど、NW-X1060で使うと一段と音が冴えるんですよね。「ソニーの本気とはこういうことか」とも思いました。以後、X1060ではNC機能を捨て(あっさりw)、このMDR-EX800STが固定装備となりました。
 が、こちらも改めて聴き比べてみると……音がどっしり重厚なのは良いんですけど、“モニター”にしては低域が強すぎるんですよねぇ。B&Wのスピーカーも「モニターにしては低音強くないか?」って感じではあるんですが、これは度を過ぎている感じがします。B&Wの音は中域は中域、高域は高域でそれぞれ伸ばしてくるのでバランスが取れている感じですが、これは高域が伸びずマスクしてしまっているような感もあるのでバランスが良くないんですな。その点、X1060だと低域が細く感じたりする傾向にあるので、微妙にバランスが良くなるのかもしれません。また、“モニター”なら解像感の高い音であるべきだと思うのですが、それも言うほどじゃないんですよね。X1060付属よりは解像してるけど、ATH-CK90PROのように解析的な音ではないし、HA-FXT90ほど細かい音まで解像してもいない。たしかにインナーイヤーとは思えない深みのある音を出すけど、“モニター”、しかもプロ用ってホントかな?って気はしました。
 あと、これもハウジングがおそらくはプラスティックなんですよねぇ(しかも全面)。まぁ、ソニーらしく上品にごまかしてはあるんですけど……値段高い割にこれはどうかと思うこともありますな。それと、これの最大の問題は装着感ですね。コードを耳の後ろに回すいわゆる“Shure掛け”方式なんですけど、これ、コードを上手に固定しないと耳に干渉して痛くなったりするんですよ。上手くやれば何時間でもOKなんですが、ちょっとずれてると、10分もすると痛くなってきてしまう……ここは問題ありと言えます。この点では、何の問題もないATH-CK90PROやHA-FXT90の方がはるかに良い製品とも言えますな。
HA-FXT90
 その1でのHA-FXT90の評価は、上記のことを踏まえての評価だったりします。「圧倒的な音の厚み」というのは、MDR-EX800STのようなどっしりした音にふさわしいと思うんですよね。高域寄りで軽めに聴こえるHA-FXT90にはやはり似つかわしくないなぁ、と。また、「スケール感」というのも、バランスドアーマチュアなATH-CK90PROより迫力はあるかもしれないけど、MDR-EX800STのような空間表現力はないし迫力もないですしねぇ。微妙だなぁと思ったわけです。
 しかし、実売価格で1.5倍のATH-CK90PROよりツヤがあって色気のある音を出し、倍近いMDR-EX800STよりも相当細かい音まで解像できるのもまた事実なんです。HA-FXT90を聴いたあとでATH-CK90PROを聴くと篭もったようなショボい音に聴こえたりもするし、MDR-EX800STを聴いたあとでHA-FXT90を聴くと低音がそれなりにしっかり出ていることに気付いたりもするんですよね。同じダイナミック式ドライバーでも一方は大口径16mmで、もう一方はたった5.8mm径ですからねぇ……凄いといえば凄いことですよ。で、上記2つはプラスティックハウジングなのに対して、HA-FXT90はメタルハウジングで質感も上々です。見ただけでATH-CK90PROの方が値段が高いと思う人はまずいないでしょう(知ってる人は除く)。
 曲によっては高域がキンキン響いて辛いという欠点はありますけど、そうでない曲の表現力は決して侮れません。音なんて所詮好みなので「MDR-EX800STよりHA-FXT90の音の方が好き」という人も出ると思うんですよね。前にも書きましたけど、ビクターのフロアスピーカーの音がこういう傾向ですから、好きな人は必ずいると思います。実売1万円程度で、全く新しい“ツインユニットシステム”で、質感も良いわけですから、商品として十分「あり」なんじゃないかなぁ。
●参考
・ATH-W1000
 オーバーヘッド式ヘッドホンで、密閉式です。値段が高いということもあり、全然違うレベルの音です。ゆったりとしてて、かつ高域にキラキラと光るものがありながら頭や耳が痛くなるようなことはないですな。空間表現力も随分違いますねぇ。
・SENNHEISER HD598
 オーバーヘッド式ヘッドホンで、オープン型です。値段はMDR-EX800STぐらいなんですが……凄いです。穏やかでありながら、高域中域低域のバランス感がハンパじゃなく絶妙です。「自然な音とはこういうことですよ」と言われているようですわ。参りました。ドイツの科学力は世界一ィィィイイイイってことか。

 ま、ヘッドホンは置いといて、結局どのイヤホンも一長一短あるわけです。私は「適材適所」ということで、ATH-CK90PROを5th nanoで、MDR-EX800STをNW-X1060で、HA-FXT90LTDをNW-S739で使うことにしました。
 人の好みは人それぞれですので、何はともあれとにかく実際に聴いてみることだと思いますね。ここに書いた感想も私個人の感想であって普遍性などまるでないですし、どんなネット上の有名人のレビューであってもそれが絶対であるわけはありませんから。
 ほんの少しでも製品を選ぶ際の参考になれば幸いです。

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